サブタイトルとは違った意味で一読の価値がある。

  何かにつけて「科学的に証明されている」とか、「科学的に否定されていない」と言って、庶民をたぶらかそうとする風潮が強い。特に行政、企業の関係者、およびそのような団体に媚びる御用学者が、眉を逆立てて反論するときに用いられる言葉である。そのような面々に限って「科学的」という言葉の背景を承知していない、いや承知しているが故に用いているのだろうか。マスコミも、国民もこの言葉を使われると、変に萎縮するのか、納得するのか追求の矛が弱まったり、収まったりする。

 大丈夫、皆さん。「文系理系を問わず、科学的なものの見方を理解しておくことは、きっとこれからの人生に大いに役立ちます」と著者が述べているように、理系・文系にかかわらず、「科学的なものの見方」は理解できるものであって、決して理系の専売でも何でもない。本書の根底にある見方を理解すれば、(決して難しいことではない)御用学者の詭弁に怯むこともない。