図らずも露呈した財界トップの理念の貧困

 厚労省の行政のあり方に関する懇談会座長であるトヨタ自動車相談役の奥田碩氏が、「マスコミの厚労省たたきに目に余るものがある。報復として番組提供スポンサーを降りることも」と発言したそうだ。

 まさに、公私混同の極みである(公的立場を利用して私腹を肥やすこととは反対の意味での)。トヨタ自動車の営業活動は企業としての私の部分である。政策懇談会委員は、公務員ではないにしても、公の性格を有している。直接自身に対する批判ではないにしろ、公的任務を要請された省庁に対する批判に私的問題を持ち出して牽制するなど、とても財界の重鎮の考えることではないと思うが。トヨタ自動車はこれほどの力を発揮できる企業となった?

 メディアが同社の製品や経営に関して言われもない中傷を繰り返しているというのであれば、そのような報復もあり得るだろうが、その場合でもその前に情報を開示して、訂正の申し入れなどをするのがスマートなやりかただと思う。

 今回の発言は余りにも、世界トップを誇る売り上げに驕ったように思える。かつて米国の言いなりになってまでトヨタの権益保護に努めてきた* 政府に対するお礼奉公のつもりなのだろうか。

 *:http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/ab0ea4dfa8f86ca6f48b4c88bbecb5d6